ホロヴィッツのピアノ奏法分析 ホロヴィッツのピアノはいろいろな意味で超個性的と言われますが、その源は、フランツ・リストに匹敵した偉大なピアニスト、アントン・ルビンシュタイン
(1830〜94)に行き着きます。
アントン・ルビンシュタインは、伸ばした指で弾く重量奏法の先駆者で、
「ピアノを人声のように歌わせる奏法を持ち、温かさ、華やかさ、ロマンティックなときめきなどを聴き手に伝えた」
「彼の手から生まれる音が詩的な美の極致に達する時、それは器楽的ベル・カント(美しい歌の意)の偉大な芸術である事を人々は理解した」と当時評されていたそうです。
バレエの伝統のように、音楽の伝統も代々受け継ぐのがロシア。ホロヴィッツにロシアのピアノ奏法を伝授した、その師たちもまた一流でした。
ちなみに、ホロヴィッツの特徴である、伸ばした指は、「ショパンのスタイルをラフマニノフの時代へと続けた技巧派ピアニスト」と評された、フェリックス・ブリューメンフェルドの指導によるものです。
今度は、「ホロヴィッツ・イン・ウイーン」というDVDの映像から、指の動きを分析してみました。
●座り方
![]() |
![]() |
椅子とピアノの位置関係は、近すぎることも遠すぎることもない、適正な位置と言えるでしょう。
背筋はまっすぐ伸ばして肩の力を抜いて座っています。腕の重さが、ストレートに肘と手の平に伝わっています。
右の写真は、やや前傾姿勢ですが、背筋が伸びて、猫背にはなっていないことから、上半身の重みを腕に加えるためと推定されます。
鍵盤の位置に対して、肘はやや下がり目(その分椅子は低め)。
鍵盤に正対したまま、演奏中はほとんど上体を動かさない。
ちなみに、鍵盤に対して手首が低いのは、ppでレガートを弾くときに、音量のコントロールをしやすいためと思われます。
●奏法
伸ばした指と、立てた指、主に2種類使い分けています。
さらに、響きに対してとても敏感で、出したい音色によって、手首の位置も変え、タッチを使い分けています。
![]() |
![]() |
| 1.寝かせた指で鍵盤を沈める。(写真 左手) | 2.猫の穴掘り。(写真 両手) |
![]() |
![]() |
| 3.指を立てて、垂直に振り下ろす。 (写真 右手) |
4.横から見ると、ひらがなの「へ」の字。 |
●印象
鍵盤の上で、両手でタクトを振る指揮者。大きな音も小さな音も、密度の高い音を合理的な動きから出しています。
ほとんどの写真で、右手と左手の形が異なっています。メロディーと伴奏の音色に差をつけ、音量だけでなく、音色で表現したいラインを明確に浮き立たせています。
また、「緩から急へ」メリハリをつけていて、音に律動があります。一本調子な演奏とは対極に位置します。
●親指
![]() |
![]() |
親指は鍵盤に平行。アシュケナージと同じく、親指を寝かせ、爪の外側を当てています。(斜めにならない)
しかし、硬い音が欲しいときは、やはり親指は斜めに使っています。手首の位置が、高くなっているところに注目。
また、未使用時の親指は、脱力しています。
●指の運動量
指の届く範囲内なら、ほとんど動きが見られません。
自動演奏のピアノの上に、ただ指を乗せているだけに見えるほど、無駄な動きは徹底的に排除されています。
●使う関節
![]() |
![]() |
基本的には第3関節を軸に弾いています。しかし、右の写真のように第2関節で弾くことも多く見られます
黒鍵を弾いているときと、白鍵を弾いているとき、小指の付け根の位置がほとんど変わりません。
| 関連リンク | |
| ホロヴィッツからの練習アドバイス | 当サイトの関連ページ |
| ホロヴィッツのDVD | ホロヴィッツ・イン・ウィーン他 |
| ホロヴィッツのCD | リスト・シューマン・ショパン他 |
| |
プロのピアノ奏法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
![]()