アシュケナージの奏法分析 アシュケナージのピアノに強い影響を与えた師匠は、ピアニストとしても名高かったレフ・オボーリン(ショパンコンクール第1回優勝者)と言われています。
ロシアの伝統は、アントン・ルビンシュタインやホロヴィッツのような豪快パワフルな演奏スタイルが目立ちますが、レフ・オボーリンの叙情性を感じさせるピアノは、ピアノの音自体を美しく響かせ、アシュケナージもその音を引き継いでいます。
さて、そんなアシュケナージの音の秘密はどこにあるのか? 教育テレビ「未来への教室」でウラディーミル・アシュケナージのピアノ演奏の一部分が、放映されていたので、ビデオに録画し、スロー再生で、指の動きをジ〜〜〜〜〜っと見てみました。
●指の運動●
アシュケナージの演奏は、映像で見るととても鋭利な印象です。特に、速いパッセージなどは、瞬間的な激しさが見られます。
オリンピックの体操選手のような律動感があり、バレエのような優雅さで演奏するピアニストとは、対極に位置します。
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さて、指の運動をよく見てみると、第1関節※と第2関節だけで、ピアノを弾いています。 |
また、特筆すべき点は、鍵盤と指の距離が、驚くほど狭いこと。
(目測で、2cm程度。強い音を出すときも、10cmも離れていない)
鍵盤の上を指先がすべっているのです。そのため、指自体の運動は、最小限に抑えられています。
ちなみに、「卵を握った形」か「伸ばした指」か?
その表現で言えば、どちらも当てはまりません。基本形は、「卵を握った形」より、多少指を伸ばしています。
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しかし、全く逆に、ジャンケンのグーに近い形をとることもあります。
固い音、柔らかい音で、臨機応変に、手の形を変えているので、基本ポジションが、かなり読み取りにくいのです。
これも、やはりひとつのヒントでしょう。基本に縛られすぎず、臨機応変に弾いている・・。
※第1関節=指先の関節
指の形については?
指の第3関節 (根本) は、寝かせ、主に、第2関節に、動きの負担を集中させているようです。
親指の形にも焦点を当ててみましょう。
親指は、鍵盤に平行に、指を寝かせています。(斜めにならない)

固い音を出すときは、斜めになることもありますが、特筆すべき点は、鍵盤の端を指の横で叩いているということ。黒鍵、白鍵ともに、鍵盤の端に対し、爪の外側を当てています。
最後に小指にも焦点を当ててみましょう。
アシュケナージの弾き方は、指先が立っています。これはおそらく、指使いによる音のバラつきを抑えるためだと考えられます。
他の指に比べ、小指は短く、そして弱いので、普通に弾くと、小指の音は他の音に比べて若干弱くなります。
これでは小指の音が弱点になりますので、小指を立てることによって、音を強くしているのでしょう。
しかし、この形をとるには、小指の指を独立して相当鍛えなければなりません。小指の筋力が弱いと、第2関節は、もっと丸まってしまうのです。
映像を見ながら分析すると、彼の指がいかに強いかがわかります。
関連リンク……アシュケナージのCD
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