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ピアノが上手になる・超簡単ヒント集
うまくいかない人のための、逆転の発想

  練習曲をやるほど下手になる?
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  練習曲は、やればやるほど上手になれるから、
  上手くなりたかったら、練習曲をしっかりやろう!

 みんな、それが常識ですよね? 習っている先生に聞いても、身近な上級者に聞いても、そう言われるかもしれません。でも……。

 フグは、正しい知識を持って調理すれば、おいしく食べられますが、調理法を間違うと、毒の部分にあたってしまいます。

 練習曲も、使い方が正しければ、かなりの効果を発揮するでしょう。しかし、使い方を誤ると、練習すればするほど下手になることもあるのです。

 信じられないですよね? でも本当なんですよ。


 字のヘタな人が、手紙の宛名書きなどで、かしこまって「上手な字」を書こうと思っても、なかなか思うように「上手な字」を書くことはできません。

 それはなぜですか? というと、指が勝手に、いつもの癖 (普段の自分の字) に自動修正してしまうからなのです。

 同じことは、ピアノにも当てはまります。

 ピアノの場合も、普段音楽的に弾いていない人が、本番だけ上手に弾こうとしても、なかなか思うような演奏はできないものです。

 字の宛名書きと同じように、指が勝手に、いつもの癖に自動修正してしまうからです。

 例えば、子供の発表会で、練習曲をメトロノームに合わせて弾くような、単調な演奏を耳にすることがあります。

 その子の選曲は「エリーゼのために」。名曲です。ベートーベンの傑作です。
 なのに、その子が弾くと、その名曲がなぜか練習曲のように聞こえてしまう……。

 そのような経験、ありませんか? また、自分自身の演奏に対しても、そのように感じたことは、ありませんか?

 これは、練習曲の「毒」のほうに当たってしまった好例です。

 一度悪い癖が身についてしまうと、意識一つではなかなか直りません。
 ですから、普段 「練習曲の単調な弾き方」 をしている人が、本番だけ「音楽的に」と考えても、指は反抗するのです。

 練習曲は、使い方次第で毒にもなれば薬にもなる。

 それを理解して、練習曲は、正しく使わなければいけません。

 では、正しい使い方とは何ですか?

 ピアノの詩人、ショパンは、練習曲に対する取り組みに対して、弟子たちにこう教えていたそうです。私も、これが正しい使い方だと思います。

 - ショパンの教え方 -
 「すべてを粒のそろった音で弾くのが目的ではないのです。私にとって完成されたメカニスムとは、美しい音を上手にニュアンスをつけて弾くことができるということなのです」

 この意見には反論があるかもしれません。
 ですから、もうちょっと分かりやすく説明しましょう。

 練習曲を練習する目的は何ですか? というと、

「指を鍛えること」「楽譜がスラスラ読めること」

 
という答えが返ってくるかもしれませんが、もうひとつ、「どんな曲でも上手に弾けるための基礎力」というのがあげられます。

 この、どんな曲でも……というのがポイントです。

 “どんなに難易度が高い曲でも” ではないのです。 “どんなにひどい曲でも” なのです。

 どんなにひどい曲でも?

 これを聞くと、今、練習曲が嫌いな人も、練習嫌いなお子さんをお持ちのお母さんも、練習曲に対する見方が変わると思います。

 こう使うと、同じ練習曲が、違った側面を見せるようになるのです。
 では、説明に入ります。


 ツマラナイ曲は、練習しても面白みがなく、練習への意欲が減退する。
           ↓
 意欲が減退するから、練習量が減る。
           ↓
 練習量が減るから、いつまでも課題をクリアできなくて……。

 これは悪循環です。この悪循環を断ち切るには、スパッと違うテキストに変えたほうがいいのですが、途中まで進んだのに今さら変えるのも……など、事情があって今のテキストを続けなければならない方も多いでしょう。

 そんな方は、そのツマラナサを逆に「面白い」に変えてしまう方法があるんです。

 同じ練習曲の課題でも、普通の人が弾けば、機械的でツマラナイ曲に聞こえる曲が、プロのピアニストが心を込めて弾けば、つまらないはずのその曲でさえ、生命が通い、「とてもきれいな素晴らしい曲」に感じてしまう……。

 誰もが、その域に憧れます。

 ですから、どんなツマラナイ練習曲でも、「あなたが弾くと、不思議と綺麗な曲に聞こえるわね」と言われるように、練習時の普段の意識を変えてみてください。
 普通の曲を綺麗に弾くより、ツマラナイ練習曲を綺麗に感じさせるほうが、より難しいのです。ですから、

「私はこの練習曲で、表現の練習をしてるんだ。こういう曲でも、弾き方によっては綺麗に聞こえるんだよ……というテクニックを身につけようとしてるんだ」

 と思うようにしてみてください。

 練習時の普段の意識。それを変えれば、「単なる指の訓練」の練習曲でさえ、その枠を超え、音楽表現のコツを教えてくれます。

 進んだページの数が、自分の実力を引き上げるのではないのです。
 普段の練習内容や、練習時の意識が、自分の実力を引き上げるのです。

 その意識とは、「目的意識を持って取り組む」と、「綺麗な音で弾く」です。
 どちらもおろそかにしてはいけないのです。

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