分析という名演への近道 お手本を聴いて、表現を吸収するといっても、CDの演奏は、次から次へと流れていってしまいます。
よほど集中して聴かないと、どう弾いているのか聞き分けることはできませんし、たとえ聞き分けられたとしても、いざ自分がピアノに向かうと、すでに聴いた内容を忘れていて、どう弾けばいいのかよくわからない……。
そこで、いつでもプロの音を再現できるよう、プロの弾き方を分析します。
プロはどのように弾いているのか? 強弱とテンポに焦点を当てて、その高度なテクニックを分析してみるのです。
◆楽譜の分析 強弱
プロのCDを聴いて、右手、左手パートごとの独立した音の強さを調べます。
強弱は5段階程度に整理し、音の強さをマーカーで色つけします。
(色の例 水色 黄緑 オレンジ 茶 赤 ) pp p mp mf f
色の塗られた楽譜は、音符ごとの音の強さ、弱さがカラーで表現されます。
これで、プロの使う高度なテクニックが、目の前に浮かび上がりました。
以後、ピアノを練習するときは、このマーカー色分けを意識しながら強弱表現の練習をすると、プロの表現力を短期間で吸収することができます。
◆楽譜の分析 テンポ
クラシックの曲の場合、テンポの揺れも表現の重要な要素です。
これは、言葉によるメモを書き加えましょう。
「ここ、ちょっと伸ばす」とか「ここでゆっくりブレーキ」とか、「ここで10%減速」とか、他人が読んで意味不明でも、自分で分かればそれでいいので、自分に合う直感的な表現で注意書きを書き加えましょう。
これで、プロの使う強弱と、テンポの揺れが、自分の前に現れました。
この楽譜を使って練習すれば、「プロのピアニストに直接、個人指導を受ける」……とまではいきませんが、それに近い、かなり細かい情報までも得ることが出来ます。
例えばプロは、構成上の単なるリピートでも、1回目と2回目では強弱の色づけを微妙に変えています。楽譜上は全く同じ音符なのに、微妙なニュアンスの違いを加えているのです。
また、クレッシェンドや強弱記号なども、CDの音をよく聴くと、「100%楽譜の通りには弾いていない」ことがわかります。 (ピアニストにもよりますが)
また、右手と左手の音量バランスの取り方や、曲中最も盛り上がる箇所の、強弱の変化の流れなども、マーカーの色分けで分析された楽譜を見れば一発でわかります。
これらは皆、普通にCDを聴くだけでは分からないことばかりです。
プロの細部表現まで見抜こうと、観察眼を鋭くすると、目の前のCDが、
「幸せの青い鳥」※に変わるのです。
チルチルとミチルは幸せの青い鳥を探して、何度も遠い世界を回りました。でも、結局青い鳥は見つかりませんでした。諦めて家に戻ったとき、何気なく鳥かごの中を見ると……。
なんと、今まで求めていた青い鳥は、自宅の鳥かごの中にいたのでした。
昨日までは、普通の鳥だったのに……。
あなたも、目の前にいる青い鳥に気づかず、遠くばかりを見ていませんか?
| ※メーテルリンクの物語「青い鳥」 |
| |
上手になるために ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
![]()